ここでは Premiere 2026(掲載時は26.2.2)を Pr、After Effects 2026を AEと書きます。

初めてプレミア(Premiere Pro:以降 Prと書きます)と遭遇したのは、まだ After Effects(以降 AE)を始めて数か月のころで、どちらのソフトがどうだとか言える状態ではなく、何もわかっていない混沌とした中で、次々舞い込んでくる仕事を何とかこなしていくのがやっとでした。だいたい、2017~2018年頃ですね。そのころの作業フォルダには Prと AEのプロジェクトファイルが混ざっています。

 やがて、仕事内容も『長い尺の編集』から、アニメーションや複雑な映像効果へと移行するにつれ、自然と AEの深みへと潜り込んでいき、気づけば エフェクトプリセットの乏しい Prからは疎遠になり、『AEさえあれば何でも作れる』という自負とともに、Prの地平は記憶の彼方へ……。


 それから 8年の時を経て……。

 最近 Prがすごい進化を遂げていると聞き、好奇心旺盛なワタシは「どれどれ……?」と再びその門を開いてみました。

 正直なところ、操作性の悪さは相変わらずかもしれません。しかし今の Prには無視できない 真価が隠されていました。
「AEに比べて自由度が低い」と敬遠気味な AE遣いの皆さんにこそ、この一筋縄ではいかない "秘境の歩き方" を伝えておきたいと思います。


 本題に入る前に、まずは混同されがちな AEと Prの役割の違いを、ここで明確にしておきましょう。

 AEが目指す仕事内容は、複雑な映像効果(エフェクト)の作成や、緻密なキーフレーム操作によって『動き』そのものをデザインすることに特化しています。
 そして、Prですが、こちらは、たくさんの素材や、長尺の映像から必要なシーンを選び取り、時間軸に沿って並べることで『物語の流れ』を構築することに特化したソフトです。
 AEはレイヤーという層を積み上げて濃厚な表現を作成していくに対して、Prはそれらを時間方向(横方向)に切り貼りしてトラックという形で横に繋いでいき、一つの作品を作るといった感じです。

 どちらをやればいいのか……。
 もし仕事として続けていくのなら、両方やれ、かもしれません。


 急きょ Prの使用を命じられ、二の足を踏んでいる AE遣いの諸兄姉にお送りします。 Prの世界を訪問する前に、ぜひ知っておきたい予備知識をまとめてみました。


 AE慣れした脳にとって、その操作感はいかほどか

AEと似たような仕事をこなす Prなのに、その作法はまるで異国の地です。AE遣いが一歩踏み入れると、広大な秘境の地にポツンと取り残されてしまったような孤独感を覚えるかもしれません。
 しかしこれは文化の違いです。そこの環境に適応した人にとっては操作性が優れているのだと思います。


 噂のオブジェクトマスクの実力は?

聞くところによると、 AEの旧ロトブラシを超えたとの噂も? その精度と実用性を検証します。


 文字起こし機能はレベルアップしたのか(テキストベースの編集の衝撃)

AE遣いもこれだけは脱帽。
字幕作成は Prに任せた方が 1億倍(!)楽になると断言できます。


 AIが手助けするとはいうけれど

生成延長や塗りつぶし、AIオーディオ、他にもいろいろ搭載された模様です。静止画の Fireflyがついに動画ソフトへ本格的に組み込まれました。新世代の編集ソフトが放つ、その "お手並み" を拝見といきましょう。



 という順番でこの秘境を攻略していきます。
 まず最初の難所……。

 ● AEになれた人にとっての操作の違いはいかほどか

最も気になるのはショートカットの違いでしょう。
 これは "郷に入っては郷に従え" しかありません。AEから C4d Lに手を出したときに、猛烈なカルチャーショックを受けていますから、ワタシは今さら驚かないはずです……。



 ―― 仰天しました。

 まったく太刀打ちできません。数年の経過は完璧に浦島太郎状態です。
 通じるのはコピペと再生・停止ぐらい。シーケンスパネルのトラック(AEでいうタイムライン)の横方向のズームイン・アウトは同じですが、縦方向のズームインアウトは AEにはありませんので、いろいろ試しましたが、Prでもできませんでした(後で方法を発見しています)。
 シーケンス内の横移動は、再生ヘッドのスクラブでずっと先に行くか、マウスホイールをゴロゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロゴロ、指が攣(つ)るまでゴロゴロゴロゴロ。嫌なら 〔PageUp/PageDow〕キーを押してどこへ飛ばされたのかわからないほど遠方に吹っ飛ばされる、かです。
 AEでの挙動とまるで異なりますから、トホホとなって頭を抱え込みたくなります。

 このギャップは新しいソフトに手を出した以上誰もが通る道です。我慢して覚えていくか、嫌ならキーボードショートカットを自分なりに変えてしまうかです。

 ワタシは半日かかって AEに近いショートカットに直しました。
 それは我慢の限界を超えたからです。ついでに、文字起こしのテキスト修正時に 〔スペース〕キーでの『再生・停止』はとてもじゃまになります。そこで〔F1〕キーを『再生・停止』にしました。こうすると日本語変換モードのままでも再生や停止ができますから、文字起こしパネル内での文章編集には重宝します。ただこれは AEにもありませんから、ワタシの我がままかもしれません。

 もっともイラつく再生ヘッドの移動は、AEと同じ〔PageUp/PageDown〕で可能に、もちろん〔Shift〕キーを併用すると『10』フレームずつ移動します。
 選択クリップの先頭に再生ヘッドを移動させるのは、AEと同じ〔I〕キー、最後尾への移動は〔O〕キーに変更。

 選択クリップの左右移動も、AEと同じ、〔Alt+PageDown/Alt+PageUp〕で、〔Shift〕キーの併用で『5』フレーム移動です(10フレーム移動はできませんでした)。再生ヘッドのキーフレーム間の移動も〔J/K〕キーで AEと同じです。
 選択クリップの素材がプロジェクトのどれなのかを探るのは、ワタシ独自のショートカットで〔Shift+E〕に。その他にもいろいろ変更して、これでほぼ作業に集中できます。

 Prのキーボードショートカットプリセットに AEがありませんので、ワタシの作った AE風の『プレミアキーボードショートカットプリセット(AE_style)』の配布をしています。詳しいことはこちらをお読みください。手動セット、一括登録、どちらかの方法をお選びいただけます。


 ショートカットで操作感は近づきましたが、Pr文化の壁はまだまだ高く立ちはだかります。

 例えば、AEなら 〔Ctrl+Y〕で即座にレイヤーの一番上に平面ができますが、Prは平面をカラーマットと呼んでおり、【ファイル】→【新規】→【カラーッマット】で作成します。ただしそれはプロジェクトの中にできるだけです。自力でトラックに並べなければいけません。

 そして極めつけは、マウスで再生ヘッドを動かしただけで、その下のクリップが勝手に全部選択されてしまう挙動です。
 この動きを AEで説明すると、再生ヘッドを置いた瞬間に、その下のレイヤーがすべて選択されることになります。思わず『えっ!!』って慄くことになるでしょう。これを知らずに作業していると、気づいたらシーケンスパネル内のクリップがガタガタに。まさにカルチャーショックの連続でした。

 数日掛けて研究を重ねた結果、なんとか独り歩きできる「マップ」を完成させました。次回は、Prの秘境で泥沼にハマっている方に贈る『脱出マップ』を掲載します。ぜひそのマップを頼りに抜け出してください。


 よけいに迷うかも……。 (;^_^A ナハハ…