みねペンのあれも食べたいこれも食べたい 3
食べられるようになった物No. 25、食べられなくなった物 編
食べられるようになった物No. 25、食べられなくなった物 編
「ニンジン嫌いのやせっぽち」というのが私の幼い頃の通称である。私の事をご存じの方の多くは椅子から転げ落ちたと思うが無視して話を進める。
ニンジン、タマネギ、ネギ、納豆、セロリ、アスパラガスなどが嫌いで、体が小さく細っこいので「ガリ子さん」にも至らず「カリ子さん」だと言われていた。
母の味というと多くの人が肉じゃがとかカレーを思い出すと思うが私の場合はタマネギと豚肉の炒め物である。私は豚肉も嫌いなので、この料理がでるとおかずがほとんどなくなってしまうのである。しかし、母は意に介することなくこのメニューはしばしば登場した。仕方なく私はそのタレだけをご飯にかけて食べていたのである。
今ではすっかりタマネギ好きになって、先日は新タマネギの天ぷら熱々を塩で食べる幸せを味わった。
年を取るにつれ、嫌いな物もほとんどなくなり、なんでも美味しく食べるようになって「ニンジン嫌いのやせっぽち」は完全消滅してしまったのである。
そして、さらに年を重ねた私に突然の悲劇は起こる。
今からほぼ1年前平成18年5月21日、突然蕁麻疹を発症した。直径4cm~5cmくらいの発疹が頭の中から足の裏まで体中を被い、熱を持っているため、全身が熱く、しかもたまらなく痒い。以来最初の4ケ月は原因が特定できずに全身発疹が続き、カイカイで何にも集中できずにほんとに参った。どんな抗ヒスタミンの薬もさほど効き目がなく、しかも薬のせいで眠気に襲われるので、仕事をしていても、カイカイのウトウト朦朧状態が続いた。7月に入って、もはやこれまでと、ついにステロイドを点滴で4日間集中的に投与し、その後隔日で1錠ずつ飲み始め、ようやく落ち着いてきた。まったく、ステロイドというのは様々な副作用が懸念され、処方を謝ると怖い薬であるが、劇的に効くのは確かなようである。
ようやく薬とうまくつきあいながら、通常の生活に戻りつつあった9月半ば、両親と甥っ子とともに長野~静岡への旅行に出かけた。
まず糸魚川の美味しいお魚屋で刺身定食を食べ、新鮮な甘エビを堪能。その夜、発疹がでてきて、やばいなぁと思っていたが、それほどひどい状態ではなかったので、その後静岡の親戚の家で1泊し、市場で桜エビの生を買って帰り、そのままポン酢で食べた。
その夜、猛烈なかゆみにおそわれた。全身ぼこぼこ・・・やぶ蚊のつよぉーい奴に刺されると、モコっと腫れ上がるでしょう。あれが全身に起こったとお考えください。
翌朝、すっかり馴染みとなった医者へ行った。先生とは蕁麻疹の原因についてなんだろうね・・という話はしていたが、食物についてはふれたことはなかった。恐る恐る
「あのぉ・・・エビ?」
「!!エビかっ!!」
てなわけで早速検査をすることに。
通常蕁麻疹を発症して皮膚科やアレルギー科に行っても、「とりあえず原因を探索するのはやめましょう」という医者が多い。じんましんの原因は食べ物で何百種類、ハウスダストやダニや犬、猫など膨大な数になるので、あてもなく検査をするととてつもなく費用と時間がかかってしまうのである。
私の場合、この時点でようやくアレルゲンである可能性が判明したので、検査をすることになったのである。エビの他にイカ、カニ、ピーナッツ、小麦、大豆、蕎麦といった一般的にアレルゲンとなりやすい物をチョイス。これで検査料6,000円程度。
果たして、結果は・・・エビ、カニ、ピーナッツ、ハウスダストがNG。おいおい、ピーナッツはまぁよいとして、エビとカニは私の好きな物ベスト5にはいる食べ物ではないか。冷凍庫には常にエビがはいっていてスープや野菜炒めにしているというのに・・・茹でたエビとキュウリをはさんだサンドイッチもこの夏よく食べていてなんともなかったのにー・・
でもイカ、大豆、小麦、蕎麦はセーフだ。小麦がだめだったらうどんもたこ焼きもパンもたべられないじゃないか。蕎麦も最近ようやくおいしさがわかってきたので、蕎麦アレルギーじゃなくて良かったと安堵した。
さんざん今まで食べてきた物がいきなり食べられないというのも半信半疑ではあったが、さすがにあの痒みがこたえているのか、昨年9月以来一度も口にしていない。その他「かっぱえびせん」だとか「えびグラタン」「キムチ」(隠し味にアミエビの塩辛が入っているのよね)もやめた。明太子もあやしい。
その後エビもカニもピーナッツも口にしていないのに体調が悪い日が続き、何を食べていいかわからなくなってきて、検査済みのおそばならいいだろうと思い、お昼にコンビニで小さいおそばを買ってきた。とろろが袋に入ってついてきたが、これはあぶないかもしれないと思い、とろろは避けておそばだけを食べた。食べ終わった直後、何か「ずん!」と背中を叩かれたような感じでずっしりしんどくなった。「なにこれ?」といった感覚であった。
その後1時間程のうちに見る見る顔が腫れ、唇はタラコになり、口の中もボコボコしてきた。息苦しくもある。おぉ!これがアナフィラキシーショックっつうものか。蕁麻疹を発症したばかりの頃医者にさりげなく「呼吸が苦しくなるようなことがあったら、迷わず救急車呼んでくださいね」とか言われて「はぁ・・・」と半信半疑で返事していたのである。
呼吸が困難という程でもないが、まぁとにかく顔が見るも無惨に腫れて真っ赤でパンパン。思わずマスクで顔を隠した。熱もあがってきたので、打合せを延期してもらって早退。
またまた医者へ駆け込んで
「せ、せんせい・・蕎麦・・・」
「!!そばはあかんでー。あぶないでー。」
「だ、だってこの前の血液検査では蕎麦はOKだったし・・」
「あかん、あかん。今度食べたら死ぬで」
「・・・・・」
蕎麦アレルギーがとてもきついもので、ひどい人では蕎麦屋の前を通っただけで、駄目だとか話には聞いていたが・・
そういえば数年前厨房の設計をしていて、うどんと蕎麦を一緒の釜で茹でると、蕎麦アレルギーの人はうどんも食べられなくなるということで、うどんと蕎麦の釜を分けるというホスピタリティにあふれた仕事をしたことがあるが、まさか自分のためになろうとは・・
この世の終わりが来るとしたら・・所謂「最後の晩餐」に何を食べるか・・
私は大きなエビ天がのった十割蕎麦!!
と心に決めているのである。
ニンジン、タマネギ、ネギ、納豆、セロリ、アスパラガスなどが嫌いで、体が小さく細っこいので「ガリ子さん」にも至らず「カリ子さん」だと言われていた。
母の味というと多くの人が肉じゃがとかカレーを思い出すと思うが私の場合はタマネギと豚肉の炒め物である。私は豚肉も嫌いなので、この料理がでるとおかずがほとんどなくなってしまうのである。しかし、母は意に介することなくこのメニューはしばしば登場した。仕方なく私はそのタレだけをご飯にかけて食べていたのである。
今ではすっかりタマネギ好きになって、先日は新タマネギの天ぷら熱々を塩で食べる幸せを味わった。
年を取るにつれ、嫌いな物もほとんどなくなり、なんでも美味しく食べるようになって「ニンジン嫌いのやせっぽち」は完全消滅してしまったのである。
そして、さらに年を重ねた私に突然の悲劇は起こる。
今からほぼ1年前平成18年5月21日、突然蕁麻疹を発症した。直径4cm~5cmくらいの発疹が頭の中から足の裏まで体中を被い、熱を持っているため、全身が熱く、しかもたまらなく痒い。以来最初の4ケ月は原因が特定できずに全身発疹が続き、カイカイで何にも集中できずにほんとに参った。どんな抗ヒスタミンの薬もさほど効き目がなく、しかも薬のせいで眠気に襲われるので、仕事をしていても、カイカイのウトウト朦朧状態が続いた。7月に入って、もはやこれまでと、ついにステロイドを点滴で4日間集中的に投与し、その後隔日で1錠ずつ飲み始め、ようやく落ち着いてきた。まったく、ステロイドというのは様々な副作用が懸念され、処方を謝ると怖い薬であるが、劇的に効くのは確かなようである。
ようやく薬とうまくつきあいながら、通常の生活に戻りつつあった9月半ば、両親と甥っ子とともに長野~静岡への旅行に出かけた。
まず糸魚川の美味しいお魚屋で刺身定食を食べ、新鮮な甘エビを堪能。その夜、発疹がでてきて、やばいなぁと思っていたが、それほどひどい状態ではなかったので、その後静岡の親戚の家で1泊し、市場で桜エビの生を買って帰り、そのままポン酢で食べた。
その夜、猛烈なかゆみにおそわれた。全身ぼこぼこ・・・やぶ蚊のつよぉーい奴に刺されると、モコっと腫れ上がるでしょう。あれが全身に起こったとお考えください。
翌朝、すっかり馴染みとなった医者へ行った。先生とは蕁麻疹の原因についてなんだろうね・・という話はしていたが、食物についてはふれたことはなかった。恐る恐る
「あのぉ・・・エビ?」
「!!エビかっ!!」
てなわけで早速検査をすることに。
通常蕁麻疹を発症して皮膚科やアレルギー科に行っても、「とりあえず原因を探索するのはやめましょう」という医者が多い。じんましんの原因は食べ物で何百種類、ハウスダストやダニや犬、猫など膨大な数になるので、あてもなく検査をするととてつもなく費用と時間がかかってしまうのである。
私の場合、この時点でようやくアレルゲンである可能性が判明したので、検査をすることになったのである。エビの他にイカ、カニ、ピーナッツ、小麦、大豆、蕎麦といった一般的にアレルゲンとなりやすい物をチョイス。これで検査料6,000円程度。
果たして、結果は・・・エビ、カニ、ピーナッツ、ハウスダストがNG。おいおい、ピーナッツはまぁよいとして、エビとカニは私の好きな物ベスト5にはいる食べ物ではないか。冷凍庫には常にエビがはいっていてスープや野菜炒めにしているというのに・・・茹でたエビとキュウリをはさんだサンドイッチもこの夏よく食べていてなんともなかったのにー・・
でもイカ、大豆、小麦、蕎麦はセーフだ。小麦がだめだったらうどんもたこ焼きもパンもたべられないじゃないか。蕎麦も最近ようやくおいしさがわかってきたので、蕎麦アレルギーじゃなくて良かったと安堵した。
さんざん今まで食べてきた物がいきなり食べられないというのも半信半疑ではあったが、さすがにあの痒みがこたえているのか、昨年9月以来一度も口にしていない。その他「かっぱえびせん」だとか「えびグラタン」「キムチ」(隠し味にアミエビの塩辛が入っているのよね)もやめた。明太子もあやしい。
その後エビもカニもピーナッツも口にしていないのに体調が悪い日が続き、何を食べていいかわからなくなってきて、検査済みのおそばならいいだろうと思い、お昼にコンビニで小さいおそばを買ってきた。とろろが袋に入ってついてきたが、これはあぶないかもしれないと思い、とろろは避けておそばだけを食べた。食べ終わった直後、何か「ずん!」と背中を叩かれたような感じでずっしりしんどくなった。「なにこれ?」といった感覚であった。
その後1時間程のうちに見る見る顔が腫れ、唇はタラコになり、口の中もボコボコしてきた。息苦しくもある。おぉ!これがアナフィラキシーショックっつうものか。蕁麻疹を発症したばかりの頃医者にさりげなく「呼吸が苦しくなるようなことがあったら、迷わず救急車呼んでくださいね」とか言われて「はぁ・・・」と半信半疑で返事していたのである。
呼吸が困難という程でもないが、まぁとにかく顔が見るも無惨に腫れて真っ赤でパンパン。思わずマスクで顔を隠した。熱もあがってきたので、打合せを延期してもらって早退。
またまた医者へ駆け込んで
「せ、せんせい・・蕎麦・・・」
「!!そばはあかんでー。あぶないでー。」
「だ、だってこの前の血液検査では蕎麦はOKだったし・・」
「あかん、あかん。今度食べたら死ぬで」
「・・・・・」
蕎麦アレルギーがとてもきついもので、ひどい人では蕎麦屋の前を通っただけで、駄目だとか話には聞いていたが・・
そういえば数年前厨房の設計をしていて、うどんと蕎麦を一緒の釜で茹でると、蕎麦アレルギーの人はうどんも食べられなくなるということで、うどんと蕎麦の釜を分けるというホスピタリティにあふれた仕事をしたことがあるが、まさか自分のためになろうとは・・
この世の終わりが来るとしたら・・所謂「最後の晩餐」に何を食べるか・・
私は大きなエビ天がのった十割蕎麦!!
と心に決めているのである。
