◇ ご注意 ◇
このサイトでは音が鳴ります。パソコンの音量にはくれぐれもご注意ください。
またライセンスの発生する音源にはコピー防止の SEが混ざっていますのであらかじめご了承ください。


効果音(SE)を作るのに必要なもの、すばり原音(サウンドクリップ=単体の音データ)です。目的の音を作る基(もと)となる何らかの音です。それとレコーダー(録音機)。絵を描くことに例えると、原音はペンの先から出た色。レコーダーが紙です。色が紙に記録されるように、音がレコーダーに記録されます。
 そして効果音を作る最も手っ取り早い方法は、レコーダー片手に必要な音を録音してしまうことです。これさえあれば原音を録るだけでなく、背景となる環境音も手に入れることができます。

 環境音とは、映像に臨場感を出すために必要な音で、いろいろありますが、例えば街の中や交通量の多い道路、踏切、駅の構内、スーパーや大型店舗の雑踏と呼ばれる一歩外れると雑音となるモノです。他にも大自然の中で広がる音があります。海岸に打ち寄せる波の音、小川のせせらぎ、轟々(ごうごう)と流れる川の音など、すべて現実の音でありながら意外と需要が多い理由は、録音しないと音そのものを持ってこれないからです。

 レコーダーには何が良いか。できれば音楽用の良質な録音ができるリニア PCMレコーダーが欲しいところです。同じ部類で mp3レコーダーやボイスレコーダーもありますが、これらは高音域が消えますので、あまりお勧めできません。20~ 20,000Hz の帯域は維持して欲しいですね。

 録音できない音が欲しい場合はどうするか。
 手短にある物で似た音を作るという手段もあります。これは擬音と呼ばれるもので、楽しい作業の一つなのですが、それでさえも作るのが難しい音があります。幻想的な音や、聴覚を刺激させて何かを連想させる音、イメージ音などです。
 イメージ音の例を挙げると感電したときの音。マンガでは『ビリビリ』と書かれ、映像となったアニメでも放電したイメージの音が出ます。実際に感電したときはだいたいは悲鳴が出るだけでどんな音がしているのか聞いたことがありません。でも映像としてはそれが欲しいのです。ならば作ってしまおうというのが、D-space KEYOSSのテーマなのです。

 そのためにはなにがいるのか?
 まずはパソコンです。
 効果音を必要としている媒体は、ほとんどがパソコンで制作するような時代ですので、パソコンは必須です。また屋外で録音したレコーダーのデータも最終的にはパソコンに流し込まれます。


 他にも取り込んだ音をパソコン上で編集加工するソフトが必要になります。
 映像や写真を加工編集するソフトがあるように、音を加工するソフトも世の中にたくさんあります。インターネットなどで無料のモノを手にすることもできますが、本格的にやるのなら専用のソフトを購入したほうが質のいい音源が作れます。無料のツールだと音に効果を加えるエフェクト処理がどれも似たり寄ったりのものしかなく、ある段階で頭打ちになります。やはり有料のソフトはエフェクト関係が充実しています。
 あと音楽系の SEやジングルを作るのに必要不可欠なDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトもあります。MIDI系ソフトのように音符を打ち込んで曲を作るのではなく、複数の Wavファイルをトラック別に貼り付けて曲を作るツールもあります。このソフトがあると曲を作るのではなく、複数の音源を混ぜてひとつの音にまとめることができます。

 かといって最新の機材を求める必要もありません。必要なのは音を作るアイデアを常に備えておくことで、ソフトはその手助けになればいいだけです。
 そんなわけですので、私が操作性と質の良さから好んで使っているのは次の二つです。

・Adobe Audition 2021
 総合オーディオ編集ソフトです。Auditionは音の加工よりも音楽やナレーションの編集に特化している感が強いです。しかしプロ仕様のノイズ除去や豊富なイコライザーなどは圧巻です。
 また、たくさんの音源をトラック別に並べて総合的にミックスダウンできるマルチトラック機能も充実していますので、これ一つでいろんなことができます。

・Sound Forge 7
 これは Windows XP時代の化石ソフトですが、Auditionに無い古典的なエフェクトがあって、意外と面白い音が作れますのでいまだに使っています。
 ちなみに今は SoundForge 15です。雲の上の存在ですね。


 音を鳴らすスピーカーはなるべくいい音が出るものが欲しいですね。無ければ密閉型のヘッドフォン。ラップトップ型パソコンの内蔵スピーカーでは、せっかく綺麗な音を作っても悲しいほど気の抜けた音になってしまうので注意が必要です。
 ちなみにヘッドフォンだけで編集すると、音が直接耳に入ってくるため、レベルを下げ気味にしてしまったり、よぶんな余韻を長々と残したりすることがあります。逆にスピーカーばかりを聞いて編集すると小さな音が聞こえずらくなり、ヘッドフォンとは反対に余韻を途中で切ってしまったりします。適度に混ぜるのがベストですね。


 ここで一つ重要な注意があります。
 自分で録音した音源を加工して効果音を作る分には何の問題もないのですが、近年著作権の問題が急上昇しており、原音にライセンスの絡む音を利用するのは控えるべきだと思います。有名ミュージシャンの曲の一部分でも使用すると問題になるそうです。元の音が何だか分からなくなればどうなるのか、ここらに関しても使い方によってはグレーゾーンですのでご注意ください。このことは、録音した環境音の中に権利を主張されるような音が混じっている場合も含まれるそうです。場所が特定できるようなアナウンスが入った音源は要注意ですので気をつけてください。


 それでは、次のページで実際に音を作ってみます。


[ SEの悪夢 ]
 先日、金縛りに遭った。金縛りといえば心霊的なことを思い浮かべる。寝ていると体が動かなくなり、怖い女の人がのしかかってくるというやつだ。綺麗な女の人なら少し話は変ってきたりするが(笑)、どちらにしてもそのたぐいである。しかし、私を襲ったのは少し違っていた。
 それは夏もそろそろ終わろうかとしているある日だった。夜になって気温も下がりコオロギが鳴き出した。いい感じで秋の気配を感じながら寝ていると、窓から 1匹のコオロギが部屋に入り込み、壁をよじ登り天井の手前で止まるといい声で鳴き出した。あわてて枕元にある録音機材に手を伸ばそうとしたが動かない!「あっ!金縛りだ」と感じたがどうにも動かない。冷や汗をかきながら唸っているうちにコオロギはどこかに行ってしまい、そこで呪縛から開放された。

 金縛りのたぐいは、全身が完全に寝ているのではなく、脳の中で運動を司る部分だけが寝ていて、その他の部分が活動している時に起きる夢の一種と、モノの本で読んだことがあるが、おそらく窓の外で鳴いているコオロギの声を聞きながら寝ていたのでこんな夢を見たんだろう。 なんとも悲しい夢を見たものである。いや、それより枕元に録音機材を置いて寝る生活習慣が悲しいのかも知れない。