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2022年 2月24日(火)10.0℃(午前 11時32分)
いろいろとありまして……
ここへの書き込みが長いあいだ停止していました。書き込む時間が作れなかったのが理由です。文学全集の投稿も、SFの改稿も凍り付いたままです。お詫び申し上げます。
フリーランスになるととっても忙しくなります。といっても勘違いなさらないでください。単純にやらなくてはいけないことが多くなるだけで、肝心のワークスとしての時間が削られるために、できないことが自然と増えてきただけですので、「あいつ儲けとるらしいデ」という変な噂を流さないでください。絶対にそんなことありません。(ここ笑うとこです)
最初にやるのは、クラウドワーカーとなるためのプロフィールづくりです。これまで何をやってきたか履歴書を提出するようなものです。普通の履歴書と違って世間様に晒されますので、詐称した内容はご法度です。
作ってみて改めて気づきました。
いいように書くと特殊なことを。悪いように書くと取り留めのない雲みたいな仕事をしてきたな。が感想でした。
業務用ゲーム機器の機械制御を主にしたプログラムや Bluetoothを利用したAndroidアプリによる機械制御。並行してハード設計、はたまたプリント基板製作のアートワーク。かと思えば Flash動画から始まり、mp4用のアニメーション映像やモーショングラフィックス、ついでにそれらに欠かせない効果音制作。最近では 3D映像にも手を出すものの、世間の流れに乗ることはなく、妙にずれたあたりを突き進んでますので、説明してもほとんどの人が理解不能。我が家のカミさんでさえ考え込む始末。
ワタシの最も困る質問に、「あなたの職業は何ですか?」というのがあります。
どう答えるべきか……。
組み込み制御ですと伝えても理解できる人は皆無に近く、仕方がないので「ロボット作ってます」と答えると、だいたいの人が変なのもを想像してしまい首を傾げます。
「動く映像を作ってます」と答えても、愛想笑いを浮かべるだけで進展しません。
「パソコンの仕事です」と答えると、その道に詳しい人と勘違いされて、Windows設定の奥底にある質問ばかりに集中してしまいますが、ワタシが知っているのは、パソコンの速度とかオブジェクト指向型プログラムの考え方とアルゴリズムの作り方で、アカウントの質問などされても答えられませんから。
まあ、そんなこんなことをやりつつ、スキルアップの特訓もしつつ、かつメインのお仕事もこなしつつ、『つ』を羅列していたらこんな時期になっていたという話でした。
スキルアップの特訓といえば。
この数ヶ月で 3DCGを利用したお仕事がぐんと増えてきました。ここはやはり 3Dを選んで正解だったのでしょう。おかげで、それに関するネタがいくつかできましたので、『CINEMA 4D やってます 』に掲載したいところなのですが、それには版権が絡んできますので、そのあたりを上手く交渉してみます。
つづくのぢゃ……。 ( ̄ω ̄;)
2022年 3月 1日(火)15.0℃(午後 12時23分)
シアタービートの製品プロモーションから掘り下げる……
サウンドジェイラボさんが開発したニアフィールドスピーカーシステムが東京のb8taさんで公開になりましたので、ここでお知らせです。
ニアフィールドスピーカシステムとは超簡単に説明しますと、小さなステレオスピーカーとアンプが付属したオーディオ機器です。
小さいといっても性能を犠牲にして小規模にしたのではありません。思い出してください。昔のオーディオシステムの大きかったこと。部屋の両端に設置した大きなスピーカー。その真ん中にどんと構えたプリアンプにメインアンプ。そしてテープデッキやレコードプレーヤ。そこから家じゅうに響かせるほどの大音量を出さないと性能が引き出せなかった時代。お金持ちのステータスみたいな音響システムがありました。
時代は 21世紀。性能をそのままに、それをぎゅっと小さく圧縮したのがニアフィールドスピーカーシステム『Theater Beat(シアタービート)』です。性能をそのままと書きましたが、もしかするとそれ以上になっているかもしれません。
スピーカーの大きさは 高さ 14cm、幅 9cm、奥行き 10cm。片手に載る平面駆動型フルレンジが二つ。そしてタブレットやスマホが載せられるステー付きのアンプは 10W×2、最大 85dB。つまり両手を軽く広げたほどの手ごろなスペースがあれば、高音質大迫力で音楽ビデオや映画を鑑賞することができる、デスクトップオーディオシステムです。
そのプロモーションビデオをアートグローブ映像制作チームが作りました。もちろん 3D制作や映像編集は Keyossがお手伝いたしました。
まずはご覧ください。
映像はタブレットを含めてすべて 3DCGです。(詳しくは『CINEMA 4D やってます 』でまとめます)
3D化するにあたって本物をお借りしたのですが、音楽を鳴らしてみたところ、驚きのクリアーサウンドでした。透明感のある音はとても爽やかに聞こえます。効果音制作などの仕事もする人間ですので、音に関しては人一倍気にしておりますし、若いころはオーディオシステムも追及しており KT-88のプッシュプルアンプを自作したりして、「やっぱ音は真空管だよね~」とか言って、異様なほどの放熱放射に晒されつつ、夏場はサウナ風呂みたいになった部屋でニタニタしていた自分が恥ずかしいです。その後デジタルコンテンツにどっぷりつかり、アナログの世界から足を洗ったワタシが愛用するのはもっぱらヘッドフォン。「スピーカーなんてお金持ちの道楽さ」とほざくしまつ。
しかしシアタービートを目の当たりにして、驚きにまみれたのです。
こんな小さなスピーカーなのになんだこの音の鮮明さと迫力……。
アンプから熱が出ていない。
電源ユニットがこんなに小さいじゃないか。
音量最大でもハム音が皆無って……なんで?
目が点になったのは間違いありません。こんなにびっくりしたのは、誤って KT-88のガラスの頭に触れたとき以来の衝撃でした。
久しぶりにムシが騒ぎましたので、どこまで音域があるのか、効果音を作る時に使用する Adobe Auditionで 8Hzから15KHzまでの正弦波を作って、それを流し込んでみました。
ちなみに、効果音を作っているときは朝から晩まで変な音を垂れ流しますので、スピーカーでは鳴らさずヘッドフォンを使います。ただヘッドフォンは音像定位(音の位置)があまり良いとは言えないのですが、効果音は音の位置よりも音色や残響が重要ですので、ワタシはスタジオモニター用として、棒有名メーカーが出している、通称、赤帯とか青帯とか呼ばれるヘッドフォンを愛用しています。高音から低音までバランスのいい音を出してくれます。
「それと シアタービートが張り合えるのか?」
これが正直な感想です。小さなスピーカーは音が悪いと決めつけている古臭い人間ですので、この時点では大いになめてかかっていました。
テストをするためにシアタービート以外にも比較用のものを準備しました。どれも一般的なものです。
<1> PCに付属のアンプ付きのスピーカー
ふつうに音楽を聞くのに手ごろなスピーカーです。そこそこいい音だと思っていたのですが、このテストの結果、最低なスピーカーと決定付けられました。
<2> ステレオヘッドフォン
先にも書きましたが、スタジオモニター用のヘッドフォンです。
<3> シアタービート
この 3つにテスト用のサウンドを流し込んで違いを探ってみます。再生波形はサイン波(音叉と同じです)で 8Hzから 15000Hzです。それを 98%にノーマライズして、PCの出力レベルを50にしました。100にするとスピーカーが壊れるもしれないのでやめました。
まずは最低音域 8Hz
<1>は音が出ず。
<2>は音が出ず。
<3>も音が出ず。ただし、コーンが激しく前後してエンクロージャー(ボックス)までブルブル揺らしてました。スゴイの一言。
10Hz
<1>音が出ず。
<2>アタック(音の出だし)で『ボフッ』と聴こえましたが、後は音が聴こえませんでした。
<3>『ボフォボフォ』と風がくるぐらいコーン紙が前後に揺れていました。たぶん若い人なら聴こえているのかもしれませんが、ワタシには音として認識できずです。
15Hz
<1>音が出ず。
<2>何とかブーンと聴こえます
<3>『ドドドドド』と聴こえます。コーン紙がぶっ飛びそうなほどに前後に揺れていました。
20Hz
<1>音が出ず。何も聴こえないです。
<2>何とか『ブーン』と聞こます。
<3>ハッキリと『ボボボボボ』と聴こえます。コーン紙が前後に激しく揺れていました。
43Hz
<1>ようやく『ブーン』と音が出ました。
<2>『ボォーーー』と聴こえています。
<3>『ブォンブォンブォン』と大型客船のエンジンルームみたいな極低音が響いています。
100Hz
<1>『ブーーン』と聴こえます。
<2>『ブーーン』と聴こえています。
<3>『ブォォォォ』とガラスのテーブルがビリビリ振るえるほどに大きな低音が響いています。
中域から高音域までは出て当たり前なので飛ばします。
8000Hz
<1>『キーーーン』と聴こえていますが、なぜか『ブーン』とハム音が出だしました。
<2>『キーーーン』と耳鳴りのキツイような音がはっきり聴こえます。耳を刺す音ですがしっかりクリアーに聴こえます。
<3>『キーーーン』と耳鳴りのキツイような音がはっきり聴こえます。耳を刺す音ですがしっかりクリアーに聴こえます。
11000Hz
<1>『ツーーーン』と聴こえますが、『ブーン』というハム音が出たままです。
<2>『ツーーーン』とさらに甲高く、耳鳴りのキツイような音がはっきり聴こえます。耳を刺す音ですがしっかりクリアーに聴こえます。
<3>『ツーーーン』とさらに甲高く、耳鳴りのキツイような音がはっきり聴こえます。耳を刺す音ですがしっかりクリアーに聴こえます。
12000Hz
<1>『チィーー』と聴こえますが、『ブーン』というハム音が出たままです。
<2>『チィーー』と耳鳴りのキツイような音が聴こえますが、だいぶ小さく聴こえてます。
<3>『チィーー』と耳鳴りのキツイような音がはっきり聴こえます。少し小さくなりましたが、ヘッドフォンより大きく、耳を刺すような高音がしっかりクリアーに聴こえます。
13000Hz
<1>『ィーー』と聴こえますが、『ブーン』というハム音に消され気味です。
<2>『ィーー』とさらに甲高く音が聴こえますが、注意しないと聴こえないほど小さくなりました。
<3>『ィーーーン』だいぶ小さくなりましたが、ヘッドフォンよりまだ強く聴こえます。
14000Hz
<1>『ブーン』というハム音の影でなんか聴こえますが、それが 14KHzの音だとは思えません。
<2> なんか鳴っている感じはしますが、目をつむって集中しないとだめです。
<3>『ーーーン』と、ほとんど聴こえないですが、まだ微かに鳴っています。小さく『キューン』という音が出始めました。
15000Hz
<1>『ブーン』というハム音だけです。
<2> 全く聴こえずです。何の音も聴こえませんでした。
<3> 『キューン』というごく小さな音しか聴こえません。この音は15kHzの本体ではないと思います。
若者ならまだ聴こえるはずですが、ここが自分の限界でした。
ちなみに、別の人にも聞いてもらうと、その人は 11500Hzが限界で、12000Hzでは何も聴こえないと言ってました。
それにしても、低域から高域までヘッドフォンと同じ入力レベルでありながら、歪まずにヘッドフォンよりも大きく聴こえたのは驚きです。そして 15Hzから 14000Hzまで実際に耳に伝わったということは、もっと帯域が広いはずなので、この大きさのスピーカーとしては脅威的ではないかなと思います。
理科的な実験は終えて、次は音楽を聴いてみました。クラッシックから迫力のある映画の予告編など。
ここからは個人の感想になってしまいますが、どれも思っていた小型スピーカーのイメージを打ち砕く結果でした。
まずクラッシックから。
クラッシックはだれでも持っている CD版です。
<1>ラ・カンパネッラ(鐘)~ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調
クラッシックを生で聞いたことがないので、評価しにくいですが、音の位置や音域に関しては問題ないと思います。
ヘッドフォンでは解らなかったのですが、シアタービートで聴くとバイオリンの音色が柔らかくはっきりとセンターから聴こえてきます。ピアノがそれよりわずかに右寄りで、後ろにあるのまで伝わってきました。
<2>「ペールギュント」-ソルヴェイグの歌
オーケストラの音が綺麗です。澄んでます。何度も書きましたが透明感がすごい。
<3> 歌劇「魔弾の射手」狩人の合唱「狩人の喜びは」
フルオーケストラと歌手の声がはっきりと分かれて聴こえます。音割れ、ビリつきは皆無。ああぁ。40年前にこれがあったらよかったのに……。
次に映画サイトを訪れて、PCの出力をシアタービートに繋いでみました。クラッシックとは異なり大音量大迫力の音源を探してみました。
初めはドルビーシネマの紹介サイトさんです。
https://www.youtube.com/watch?v=iYtihKXwoFA
ヘッドフォンのほうが音の位置がしっかり分離される感じでしたが、シアタービートもまったく引けを取っていません。それよりも大音量でドカーンと迫る音に関してはヘッドフォンは音だけが大きくなる感じですが、シアタービートはまわりの空気が震えます。鳴動ともいえる何とも言えない圧力をこんな小さなスピーカーから感じました。
IMAXさんの重低音を聴いてみました。
https://www.youtube.com/watch?v=I6yPiA5y8Rs
こちらはあえて重低音を前面に出した映像でした。やはり音の分離はヘッドフォンの方が有利(耳に直接なので当たり前)ですが、大音量重低音の迫力はシアタービートにはかないませんでした。
総合評価
クラッシックの小さな音から IMAXさんの大音量まで難なくこなすという感じです。いい音のスピーカーをあまり聞いたことがないので、偉そうなことは書けないですが、これまで聞いたスピーカーの中で最も小さく、かつもっとも綺麗な音が出ていると思います。
ちなみに、ヘッドフォンとシアタービートとで出力される音の大きさが違っています。入力レベル 30でシアタービートを鳴らしたのと同じ音の大きさにしようと思うと、ヘッドフォンでは入力レベル 60まで上げないとダメなのは、やはりアンプが高性能だからでしょうね。
テストを終えてみて、初めに感じていた出力 10Wは少々非力ではという思いは、みじんもありませんでした。耳の近くにスピーカーがありますので、昔のような大出力は必要無いわけですね。それがニアフィールドと呼ばれる理由です。それよりもしっかりした音像定位は鳥肌ものでした。たぶん付属のアンプも性能が良いのだと思います。中を開けて部品を見たいところです。
開けたらダメ、と叱られました……。 ( ̄ω ̄;)
ところで、下記の写真は、左が本物のシアタービートの付属アンプで、右が映像に出てくる CGです。次回はこの製作について書きます。


左本物。右がCGです
ニアフィールドスピーカーシステム『Theater Beat』
開発元:サウンドジェイラボ
販売先:シアタービートショップ
プロモーション:(株)アートグローブ
b8taさんでは実機を触れるそうです。お近くの方はその素晴らしい音を体感ください。詳しくはこちらでご確認ください。
2022年 3月 5日(土)11.0℃(午前 4時23分)
リアルの行き先には……
以前から話題になっていたフォトリアリスティックなコンテンツがさらに拍車をかけてきたようで、映画やゲームだけでなくテレビコマーシャル、雑誌や新聞広告などにも積極的に利用されてきたそうです。
なんか変なものでも食べた?
このサイトに似つかわしくない単語を羅列してしまいました。
まあなんです。平易な言葉に直すと、実物の写真と見間違うようなリアルさを追求した情報物があふれてきたということです。
Adobeさんが発表した Substance 3Dなんかはその典型ですよね。コロナでステイホームな仕事を強いられてもリアルな映像がパソコンの中で作れるなら、わざわざロケに出なくてもいいよね~。てな感じです。
ワタシもその波に乗るべく日々修行をしているのですが、ようやくほんの手掛かり程度ですが身に付いてきました。
お手伝いしているデジタル教科書やプロモーションビデオに使われるアニメーションなんかにも、去年暮れあたりから 3Dシーンを採用してもらえるようになったのは喜ばしいことです。
その代表が前回の シアタービートの映像です。スピーカーやスタンド付きのアンプ、タブレットなどすべてパソコンで作った映像です。
3Dアニメーションの最大の利点は、実物そっくりに動かせることと、実物ではありえない動きを実物そっくりに見せることができるところではないでしょうか。
たとえば次の写真は実物そっくりに作った シアタービートのオーディオアンプです。
ワイプの中の写真が実物です。
ところでこの写真をよく見てください。
スタンドの土台となる平たいステーの部分に丸い穴が二つ開いているのがお分かりでしょうか。
実物を3D化する段階では実物のサンプルは手元に無く、それを写した数枚の写真と寸法図だけを見て作っていましたので、何の穴だか解らなかったのです。
3D化していく途中で、各部分が折曲がり、載せたタブレットの角度が調整できることに気づき、それを推し進めていくとその穴にスタンドのカギの部分が入る構造だと理解できたときには、次の映像のような動画ができていました。
実物と同じ構造なので、実物と同じ動きをする。あたりまえのようですが、ワタシは実物でそれを認識したのではなく。パソコンの中にある虚像でそれを実感したのです。しかもスタンドはぺったんこに折れ曲がるのではなく、ある程度のところで収まる、というところまで予測できました。そして実物がそのとおりの動きをしたときには、何とも言えない不思議な気分になりました。
製品を目の当たりにする前、ようするに開発している段階で完成品を見ることができるもう一つの例が、以前から公表させていただいてます、 IVS による基板映像です。
これもパソコンで作った電子基板の映像です。映像ではありますが、寸法もカタチも、さらには 回路設計 やプリントパターンまで実物と同じにしてあります。
現実の世界には存在しませんが実物そっくりのモノがパソコンの中にあります。これって、開発段階ですでに本物の分身がそこにあって、色々な角度から見ることができる、夢みたいだと思いませんか?
夢みたいといえば……。
実物とそっくりなのに実際にはあり得ない映像も作れます。これなんかはそうだと思います。
タブレットをこんな風に回転させることは現実ではありえないことですが、パソコンの中では起きています。こういう現実離れした映像を否定される方も多いと思いますが、ゲームなどでは当たり前のことで、若い人たちではありきたりのものだと認識していると思っています。
ちなみにこの映像の中で回転しているタブレットに映っているアニメーションも 3Dで作ったペーパーアニメーションです。
そんな世界を作ることに興味をお持ちの方は『CINEMA 4D やってます 』を覗いてみてください。今月に入っていたるところを改稿しましたし、新たに『【23】ペーパーアニメーションを考える 』を追加しております。
2022年 3月 7日(月)15.0℃(午前 11時58分)
いちむらバス……
「いちむらショッピングセンターは駅までお客さんを送迎してくれる『いちむらバス』と呼ばれるサービスがあるらしく、誰でも無料で利用していいそうだぞ」と見おぼえない人からそう告げられて、
「いちむら……?」と首を傾げ、
「そんなショッピングセンターあったかな?」
と、考えたところで……目が覚めた。
出ました。例の夢の話です。 ここにまとめられています。
夢ですので、ばからしい話ばかりですが、一概に鼻で笑って済まされないような内容がたまにありますので、面白くて記録しています。
ここからは自説ですが、夢はその人の記憶の断片が組み合わされてストーリーとしてでき上った自作のフィクションで、どんな突拍子もない夢であっても、その部品は過去の小さな記憶の断片だと思います。それに現在の精神状態が吟味されて組み立てられたのが、夢ではないでしょうか。
見たことも聞いたこともないモノが夢に出てきたとしても、それは深層心理の奥底に沈んでいた、普段では思い起こせないほどの過去の記憶で、決して無から生まれたのではないと考えています。
常日ごろから空想好きな人ほど物語を作る能力にたけていますので、よりリアルな夢を見るのではないか……。早い話が、ワタシは絵空事ばかりを常に考えているからだと……だれがアホやねんっ!
独り突っ込みも済ませたところで本題です。
似たような夢を 2010年 10月 8日に書いています。このときのキーワードは『ダイコクへ行け』でした。そして結果を2010年 11月21日に描いていました。
夢の中で言われた『ダイコクへ行け』は、毎日聞いている FMラジオから流れるコマーシャルの一部分だったことと、自分がやっている仕事の内容とが組み合わされて不思議なストーリーが作られたと結論付けたのですが、そうなると今回の『いちむらショッピングセンター』がやっている『いちむらバス』ってなに? 無料の送迎バスだそうですが……。
だいたいは察しがつきます。
健康のためにウォーキングを続けているのですが、そのときよく目にするのが無料の送迎バスがたくさん走っている光景です。スイミングスクールやスポーツクラブ、自動車学校もあれば私立幼稚園の豪華なこと。ほかにも大きな病院へ送ってくれるのもあります。
そのときに注目しているのは載っているお客さんの数です。時間帯によるのかもしれませんが、幼稚園は別として、大体が空っぽか一人か二人。そして思うことはいつも同じ。
「経営はだいじょうぶなのかな……」
って勝手な思い込みですみません。
きっとそれなりの時間帯では超満員なのでしょう。たまたま閑古鳥が鳴く時間帯と、どこかのオッサンが徘徊する時間が一致しているだけなんです。
では『いちむら』は?
なぜ『市村』ではないのか、『イチムラ』でもいいのに。
夢の中では平仮名で『いちむら』でした。不思議なのは『いちむら』と文字が出たのではありません。見知らぬ人から音声でそう伝達されたのですが、なぜか平仮名だと直感したのです。
確かに、漢字やカタカナで書くより平仮名で『いちむら』と書くほうが丸みがあって優しく感じられます。太めの丸ゴシック、しかも色は緑。これが自然と浮かんできます。
なぜこんなに具体的な情報が脳裏に浮かんでくるのでしょうか。この変な感覚はなんでしょう?
何かの記憶なのか。思い込みなのか……。
もしかすると、どこかでしょっちゅう目の当たりにしているのに思い出せないのかも。次のウォーキング時には注意して観察してみましょう。
不審者に見間違えられませんようーに……。
自分の名前が『いちむら』だったりして……。 ( ̄ω ̄;) あほや~
2022年 3月 12日(土)16.0℃(午前 9時40分)
音ネタ取材(その1)……
去年の 12月から制作に入っていた小学生の英会話アニメーションが次の段階に入りました。
制作工程はスタジオによってそれぞれ異なるでしょうが、こちらではチームのボス、プロデューサーが絵コンテを書き始めるところから始まり、
作画 → 3D背景制作 → アニメーション化 → 効果音制作 → アフレコ → 完成
となっていますが、アニメの絵はワタシには作れませんし、アフレコは声優さんのお仕事でこちらにはデータだけが送られてきます。
それ以外の工程が KEYOSSで行われていて、全部の指揮を執るのもプロデューサーです。
そのプロデューサーが描いた絵コンテ、この人はもと漫画家ですので下絵の作画からデータ化の指揮もしていますが、この絵コンテがひどい。本人曰く、
「アイデアは揮発性の高いモンや、いちいち丁寧に描いてたら消えてまうやろ」
「そりゃそうや。でもこの建物なに? ビル? 家? 鉄塔?」
ちなみにワタシも含めて全員関西人です。
そんな暗号めいた絵コンテをデザイン課の人が解読して、 AE に載せるためのきれいな絵にしてくれます。
その間、ワタシも使用される背景を 3D化していくのですが、背景を 3D化する利点はアングルが自由になるところです。
作画データは平面に描かれていますが、3D化した背景をそれに合わせるのがとても簡単。イメージに合わなくても描き直す必要なし、3Dですのでカメラの角度を変えるだけ。しかも超リアル。ただしあまりリアルにするのはご法度。アニメーションされる絵を殺してしまうので、なるべく目立たず、でもはっきり表現。そのへんはプロデューサーが心得ていますので、たいしたもんです。
たいしたもんと言えば。
この人は日曜日のゴールデンに放映される海の名前のついたアニメの背景をべた褒めしていました。あと六つ子のギャグアニメの輪郭の色も絶賛してましたが、いったいアニメのどこを見ているのでしょうね。
ところで、教科書に載る英会話のアニメーションですが、意外とストーリーが凝っていて、ドラマチックな流れになっています。教科書が持つイメージとは随分変わっていますので、紙でできた白黒の教科書しか知らない人には想像できないかもしれません。
まず紙ではありません。一台のタブレットです。それに全教科が詰まっており、ネット接続された詳細な動画とリンクしています。その一つとして英会話のアニメーションが採用されています。
学校によってはまだ本を使っているところもありますが、フルカラーなのは当然で、点在する QRコードが先ほどの動画とリンクされていて、教室の前に設置された大きなディスプレイに流れるわけです。
そんなこんな状況ですが、工程が次の段階【効果音】に入ったところまで来ました。
効果音……。
ワタシの過去をご存知の方なら説明の必要はないかもしれませんが、KEYOSSの原点は音作りなのです。いくつも作ってきたクソゲーの効果音もワタシのオリジナルです。音をゼロから作れる人が希少だということでチームのメンバーに混ぜてもらったぐらいです。
今回制作したのは 18本のアニメーション。いろいろなストーリーが展開しています。
物語に登場する学校の周辺には駅あり、踏切あり。それからバス停もありで、オシャレな街が広がりつつ、閑静な住宅街もある、いったいどんな立地やねんと突っ込みつつ。
物語の中では獣医さんが出てきたり、駅のホームに電車が止まるシーンがあるかと思えば、夏休みに行ったイルカのショーや、おじいちゃんちに遊びに行った田舎の景色を思い出すシーン。ファッションデザイナーがタクシーに乗って学校へ特別講師でやってくるオープニングなんかどんな音をハメたらええねん、と再び関西風の突っ込みを入れたりして頭を抱え込みます。
これらの効果音をこれから作っていかなければいけないのです。
もちろん SE も映像に合わせて作ります。
ところで SEと効果音って同じものではとお思いの方に、今話題にした【効果音】は環境音のことでして、つまり自然界で聞こえてくる鳥の鳴き声や、電車やバスが走る音などで、イメージに合わせて人工的に作った SEとは別物です。この手の音は実際に街へ出て録音してくるしか方法がありません。
もちろん物語と同じシチュエーションはまず無理ですので、音のパーツ(サウンドクリップ)を録音してきて、パソコンの中でそれらしく組み立てて映像に充てることになります。
さあて。『いちむら』の謎を解きつつ、街を練り歩くとしますか。
変なオッサンがマイクを握って街をうろつきますが、それは徘徊ではありませんので通報しないでください。これはあくまでも取材です。
さっそく電車録りに駅へ行きましょう。
しょっ引かれて、交番の音が録れるかも……。 ( ̄ω ̄;)
2022年 3月 13日(日)18.0℃(午前 7時40分)
音ネタ取材(その2)……
今回必要な環境音は、『飛行機が飛んでいく』『バスが停車』『タクシーが止まる』『電車が駅に到着』『踏切を通過する電車』それ以外にも『子供の歓声』『都会の雑踏』『閑静な住宅街』などです。
最後のは抽象的で音で表現するにはどうしたらいいのか悩ませられます。だいたい閑静の意味は音がしない静かな様子です。音のしないありさまを録音するって……どうするの?
とにかく取材に出かけました。
都会での生録の難しさは目的の音以外の雑音が一緒に録音されてしまうことで、それを逃れるにはその音だけになるときをひたすら待つか、何度も録って消し去るタイミングを測ることです。魚釣りと似ているもしれません。
そういう意味では、今回の録音は魚に逃げられ続けた感じです。
まず『バスの停車』シーンを録ろうと近くのバス停へ。しかし待てど暮らせどバスは来ない。対面にある逆方向のバス停にはさっきから何台も停車しているのにです。しびれを切らして対面のバス停に移動。別にバスに乗ってどこかへ行くのではないので、どちらでもいいのですが、対面のバス停に到着した途端、今までいたバス停にバスが到着。それを横からすがめつつ舌打ちをしたって後の祭り。逃がした魚は大きいのです。
そして今度はこっちのバス停が閑古鳥状態。
「遊ばれとるな~」と思いつつも 聡明なるワタシは 閃きました。
別にバス停でなくてもバスが止まる場所がある。ほらあそこの交差点。
そうです。大きな十字路にはたくさんの車が信号待ちのために停車していました。その後方にだってバスが順番待ちを。
「な~んだ。交差点に立っていたらバスのほうから止まってくれるじゃないか」
録音マイクを向けること数分。青信号になった交差点から車の列が消えました。
まあ、こんなのは計算済み。次に赤になればまた順番に車が止まる。
何度赤信号を待ったことでしょう。確かに クルマは止まってくれるのですが、
「……なんでこっちはバスが来ない」
どういうわけか反対の車線では数台のバスが通過して行ったのに、こっちの車線ではバスが来ない。それよりも大型バイクの腹に響くような轟音がレベルメーターを揺らすのが恨めしい。ま、この音もいつかは使うときが来るでしょうけど。
しかも。たまにバスが来ても列の後ろのほうで、青信号になれば目の前を通過して行くだけです。
「む~。やっぱ遊ばれとるな~」とつぶやきつつ、またまた閃きました。
「駅に行けばバスステーションがある。あそこならバスが入れ食のはず」
すたこら交差点を後に駅まで十数分、遠くにバスステーションが見えてきました。
「おおぉ。バスの大群が渦を巻いとる~♪」
我が町にある私鉄の駅は急行すら止まらない小さな駅ですが、都会まで数駅という立地条件から人口が多く、駅の南側と北側には比較的大きなバスステーションがあります。そこでは常時バスが列をなしているのが当たり前の景色でした。
最初から駅に行っていたらよかったと安堵する間もなく、駅へ向って進める歩の速度が高まっていくには理由があります。さっきから妙な気配が漂うのです。
まるで近づく釣り人に気づいた川魚のように、バスが一台、二台と旅立って行くではありませんか。そして駅に到着したワタシの視界に広がるのは、誰もいなくなったバス停の光景だけでした。
完全に遊ばれていることに気づいた(いまごろ気づいたんか~い)ワタシは、このあと一駅先にある大規模バスステーションへと、電車に乗って無事目的の録音を果たして帰ってきたのですが、気になる方はでき上った映像をご覧ください。
1年先の教材ですが……それが何か?
ちなみに『閑静な住宅街』は、公園で遊ぶ子供たちの声と鳥の鳴き声、風になびく草木の音を遠方から聞こえてくるようにレベルを絞ってミキシング、それに飛行機が遥か上空を飛ぶ音も混ぜて完了とさせていただきました。
『いちむら』の謎はまだ解けぬのぢゃ…… ( ̄◇ ̄)
2022年 4月 5日(火)18.0℃(午前 7時50分)
発売されたシアタービートのいで立ちは……
以前ご紹介させていただきました、シアタービートが発売になり、商品のモニターをやらないかとオファーがありましたので、引き受けてみました。
シアタービート(Theater Beat)は、Sound J Lavo(サウンド・ジェー・ラボ)さんが開発したニアフィールドスピーカーシステムと呼ばれるもので、狭域音響装置と呼べばいいのでしょうか、早い話が机とか棚の上にちょこんと置けて場所を取らない、二対のスピーカーとアンプがセットになった物です。大型の音響設備のように大音量で迫力を求めるのではなく、パーソナルな空間内だけでオーディオを楽しもうという近所迷惑になりにくいシステムです。
なりにくいと書いた理由ですが、ここを強調させてください。
いくら狭域音響だといっても、ヘッドフォンとは違い、少しは距離を空けて聴くものです。それゆえ音量を大きくしすぎると関係のない場所にまで音が広がります。実際、パソコン(以後 PC)で ダンス系 の音楽を流して、音を肌に感じるほどまで音量を上げますと、廊下を挟んだ隣の部屋まで ベースドラム の音が伝わりました。しかしテレビを見るときほどに下げてもじゅうぶんに楽しめて隣にまで音が伝わりませんでした。
音の感じ方は個人によってバラつきがありますから一概にこうだと決められませんが、個人的な意見を述べさせていただきますと、シアタービートはヘッドフォンより はるかに小さな音量 でも大きくクリアーな音で再生してくれます。もちろん大音量にするほどに迫力が増すのは大型のシステムと同じでありながら、この小さなシアタービートがそれに対しても引けを取らないのは驚きです。
さて、この状況をどうか考えるかです。一軒家と集合住宅ではあきらかに条件が異なりますので、近所迷惑にならないとは言い切れず、なりにくいと解釈したほうがいいのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、箱を開梱する場面まで話を戻します。
開梱して最初に感じたのが……。
「ちっせェ~」
いや、
「可愛ぃ~」でした。
プロモーションビデオを作るときに一度拝見させていただいていますが、改めて製品になった状態をユーザーの立場になって観察すると、本当に小さくて可愛らしいスピーカーでした。
前回はこの小さなスピーカーが持つ驚きの能力を目の当たり(耳に)にして唖然となったのですが、その詳細はこちらをご覧いただくとして、今回は正真正銘の商品として再会したわけです。
以前制作した 3D映像と比較してほぼ同じ出来具合だったことに、おかしな安堵をしつつ――何しろ 3Dモデリングは写真と寸法図だけを見て作りましたので――今日はじっくり拝見です。
写真に写っているヘッドフォンやマウスの大きさと比較していただくとお分かりのように、スピーカーは片手に載るサイズで、筐体の高さは 14cmほどです。本箱の端と端に置いても邪魔にならない角の取れた優しいイメージのシェイプは、黒と木目の二種が用意されており、部屋のインテリアとしても活かせると思います。
以前は木目調で 3D化しましたので、今回は黒にしてみました。仕事場が黒のラックで組まれていますから、きっと似合うでしょう。
スピーカーには黒色のカバーがついてコーン紙の保護をしていますが、簡単に取り外せますので、その素顔をさらけ出して音響製品であることをアピールすることもできます。またこのカバーの四隅には磁石が付いていて脱着を磁力で行うために、ネジを外してとか、脱着レバーを操作してとかの手間は必要ありません。爪でひっかければダイレクトに外れます。意外と磁力があって装着するときは自ら吸い付くようにパチンと貼りつきます。この力が結構強くて、音圧により勝手に落ちたりすることはまずないと思われます。それほどしっかりと吸い付いています。
では、いよいよアンプです。
オーディオ製品のかなめと言えば、スピーカーかアンプ、どちらだ? と問われれば、『スピーカー』と言う人もいれば『アンプ』だと主張する人もいると思います。実際は『両方』が正解かもしれません。それほどアンプにも興味がわきます。
アンプはタブレットスタンドに背負われた格好で取り付けられており、スタンドはがっしりとした肉厚のスチール製で頑強なつくり、さらに折曲がる稼働部も必要以上に力強くて、畳まれた状態から立てるときに、意外と硬く感じるかもしれませんが、これは大型のタブレットを載せてもびくともしない設計になっているからだと思われます。その背に載せられたアンプの荷重などみじんも感じさせない心強さが、黒という色とマッチしてなんとも頼もしいです。
アンプの形状は、試作機よりいくぶん角を強調させる仕様になったようですが、パーツの配置はそのままです。最上面に左から、電源 LED、入力端子、電源ボタン。反対の底になる部分に電源端子、底上面にスピーカー出力が二対取り付けられています。
入力端子を電源や出力端子から最大限引き離しているあたり、開発者の細やかな配慮がうかがえます。きっと妙な電磁干渉や輻射波の洗礼を受けてきた方が設計したのではないかなと、勝手に想像してしまいました。何しろパワーを切った後に電源 LEDがいつまでも灯っているあたり、ノイズを極限にまで減らし、かつ瞬間的な大音量にも対応させたいと願うがために容量の大きいコンデンサが電源ユニットに使用されている様子も察して取れました。
ところで概略仕様書を見ますと、電源ユニットはスイッチング方式になっています。スイッチング電源といえば、昔はアンプにノイズが干渉してきたのですが、シアタービートが音量最大でも無音なのは内蔵されたデジタルアンプの実力なのでしょうか。畑違いのワタシには判断できませんでした。それよりも、電源ボタンの押し具合が軽くてクリック感もあって心地よいですね。ただ、入力ケーブルをスマホやタブレットに差し込む前に電源を入れるのはよした方がいいです。入力端子に触れるとブーンという大きな音が出ますから注意してください。
次回は音域と音像のテストを製品版で試したのですが、その際、ワタシが効果音作りをするときの相棒としてヘッドフォンを愛用する理由はなぜか、そしてスピーカーと何が違うのかを再認識できました。
「今頃気づいたんかい」と叱られそうな気配を感じつつ、ひとまず持ち越しです。
なるほどそうだったのか……。 ( ̄ω ̄;) 何年やってんねん
2022年 4月 6日(水)19.5℃(午前 7時40分)
シアタービートから学ぶ……
昨日の続きです……。
試作機で行った音域テストを製品版でも行ってみました。違いがあったら問題ですが、先にお伝えします。試作機と相違なくクリアーで透明感のある音でした。ご安心ください。
大仰に音域テストと書きましたがそんなにたいそうなことではなく、耳で聞こえる限界の波長を探ろうというものです。ようするにどこまでの周波数の音をスピーカーが再生できて、かつ個人の耳でそれがちゃんと聴こえるかを試したもので、人によってまちまちです。ワタシの耳では 20Hzから 14.5KHzが限界のようで、人によっては 11.5KHzで白旗をあげています。そんな状況ですので参考程度にお考え下さい。
テストトーンは、Adobe Auditionが出す 98%にノーマライズされた 1Hzから 20KHzにスイープする正弦波(サイン波)の音です。これを愛用している某メーカーのスタジオモニターヘッドフォンとシアタービートへ交互に流し込み、どの周波数まで聞こえるかを自分の耳で確かめようという、何とも頼りなさげなモノです。ちなみに前回はパソコン専用のスピーカーも比較の対象にしていましたが、同じスピーカーシステムでありながらシアタービートと比べものにならいほど性能が悪かったことを白日の下(もと)に晒(さら)してしまい、嫌気がさしましたので今回は除外しました。余談ですがこのパソコンスピーカーでもいい音だと長年思っていた自分が情けないです。
1Hzでもアンプは反応してスピーカーのコーン紙を前後にゆっくりと動かします。それは脈拍みたいに手首を下から圧しあげる血管にも似た動きです。音は出ていませんがヘッドフォンも同様の動きをしているかもしれません。
やがて周波数が上がっていき、15Hzにもなると音が出始めます。しかし実際の音ではなくコーン紙や振動パーツがこすれる音みたいにも聞こえます。本当に聞こえだすのは 20Hzほどからです。「ボォー」と聴こえます。
100Hzを超えるあたりから音はさらに大きく聞こえ、スピーカーからは空気の鳴動のような波動を感じますが、ヘッドフォンでは音しか聴こえません。これがスピーカーが持つ特性で、音だけを伝えるヘッドフォンでは真似ができないところです。
150Hzから 200Hzになるとスピーカーが暴れだしましたので音量を下げました。下げる直前までは PCの音量は 最大値の半分、50です。普段仕事中は世間から離脱してトランス状態にするために、テンポのいいアニソンを音量 20ほどで聞いて作業しています。キーボードの打ちこみが倍速になりますが、電話が真横で鳴っていても気が付かないほどです。よくプロデューサーに「電話に出んかい!」と叱られるのはこれが原因でございます。はい。どもすみません。
300Hzから 5KHzまでの音はスピーカーもヘッドフォンも出て当然で、もちろん聴こえますから省略です。
8KHzにもなると耳を刺すような音になり、徐々に聞こえにくくなります。そうなると今度は音量を上げていきます。もしかして音量を上げ下げするのはルール違反かもしれませんが、自分の耳で聞こえる音をどこまで出しているかを探るのですから、これで良しとしています。実際ヘッドフォンも追従してきていますから問題ないと思います。
やがて左耳は 12KHzぐらいで機能を失いつつ変化していきます。右耳は聴こえていますが、音量を 最大値の 100まで上げても左耳は無音でした。あわせて最大音量でブーンというハム音やノイズが皆無というのも、デジタル音源のなせる業でしょうか。それともシアタービートのデジタルアンプの性能がいいからでしょうか。あの戦力外通告を受けたパソコンスピーカーでは 8KHzでハム音が出始め、それ以降周波数を上げていくとハム音に消されて肝心の音が聞こえなくなるという情けなさでした。
シアタービートも 12KHzを大きく超えるあたりから何らかの干渉をアンプが受けているようで、目的の音以外に「キューン」という小さな音が右スピーカーから漏れ出します。これはそろそろ限界に近づいてきた証なのかもしれませんが、音量を 30まで下げると消えましたでこのまま続行です。
ヘッドフォンからは本来の音以外の雑音は聴こえてきませんが極端に小さくなりました。
13KHzからは右耳だけが頼りです。でもシアタービートは音量 30で干渉音は消え、目的の音がまだはっきり聴こえています。ヘッドフォンも集中して聴けばかろうじて鳴っているのが分かります。
14KHzになるとヘッドフォンはもう鳴っているんだか鳴っていないんだか、テストトーンを切ると何となく開放感が伝わりますので何かを感じているのでしょうが、シアタービートはまだちゃんと感じます。そう、ここまでくると聴こえるではなくて、『感じる』になりました。調べてみるとこれが 人間の不思議 なところ。耳で聴こえないような高音は頭蓋骨で聴いているらしいです。あとで知ってびっくり。だから感じると表現したのはあながち間違っていなかったようでした。
14.5KHzに到達するまでにヘッドフォンはリタイヤ。何も感じませんでした。しかしシアタービートはまだ感じます。
15KHzでもまだなんかを感じますが、鼓膜は無反応だと悟りましたので、ここで中止です。結果を 15KHzとさせていただきました。
テストトーンでは周波数しか探れませんから、音がピュアに聴こえるクラッシックと、 ノリノリのシンセとビートがきいたドラムが売りのアニソントランス系 で比較してみました。
結果は……。
良質なヘッドフォンを使用しますと、音質に関しては大差なくどちらもきれいに聴こえます。ですが、なぜかシアタービートのほうが音が鮮明なのですね。低音もぼんやりしておらず、締まった歯切れの良さと力強さを感じました。
テストトーンではなく音楽になると違和感を感じるのは何か。この差がなんだか解らないのです。
この答えをネットで見つけて納得しました。肝心なことを忘れていたのです。
シアタービートの方が低域の音が力強く感じるのは、実際に目の前の空気を震わせて鼓膜でなく、耳周辺(耳たぶも)、さらには肌にまで伝えるからです。これがヘッドフォンとスピーカーの決定的な違いで、それが臨場感だと示されていました。
そのために重要なのが音像定位だそうです。かみくだいて説明しますとので、映画や楽器演奏の再生で重要なのは、音質や音域以外に音像と呼ばれる音が現す位置や姿を再現できることも必要不可欠な要素だというのです。
耳に直接音を送るヘッドフォンは、この空間的表現ができないためスピーカーシステムと比べて不利だそうです。つまり右のスピーカーから出た音が左の耳から入ってくるような状況はヘッドフォンでは不可能だからです。ヘッドフォンはあくまでも右から出た音は右の耳にしか届かないからだと理由を挙げていました。
この事実を知って胸のつかえがとれた気分です。テストトーンを聴いたときとクラッシックを聴いたときとに覚えたシアタービートとヘッドフォンでの違和感は音像定位の違いだったのですね。
ようするに、テストトーンは左右の音に分かれてはいますが、位相も同じで音量も同じですから、ヘッドフォン、スピーカーどちらで聴いても音像が定まらないモヤモヤした音でした。代わって、はっきりと違いが出たのが楽器の位置が正しく録音されているクラッシックでした。もちろんそれを忠実に再現したのはシアタービートです。
ヘッドフォンで音像定位をしっかり作れるのはバイノーラル録音です。何十年も昔の話ですが、 ダミーヘッドマイク をもって町を練り歩き変人扱いされたことを思い出しました。すっかり忘れていましたね。
理由を知ってから改めて『ラ・カンパネッラ(鐘)~ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調』を聴き比べてみますと、今度ははっきりしました。
ヘッドフォンで同じ音源を聴くと頭の中をセンターにして左右に広がるだけで、前後の距離感がほとんど無いペタンとした平面でした。しかしシアタービートで聴くと、スピーカーとスピーカーの何も無い空間からバイオリンの音が聞こえてきます。まるでそこに奏者がいるみたいに。そしてピアノはそのわずかに左から聴こえてきます。要約しますとヘッドフォンの音は 頭の中に広がり 、スピーカーは 顔の前で広がります 。この前で広がるというのが立体的に感じる原因だと思います。静かに流れていたメロディーが、フルオーケストラに広がったときの空間的な拡張効果には鳥肌が立ってしまいます。ここまでしっかりと音像を作ってくれるのも、シアタービートが音そのものを忠実にかつクリアーに再現してくれているからでしょう。
シアタービートの音像定位の良さはハイビジョンテレビに接続して聴いてみてもわかります。最近のテレビは音がいいので、音質そのものはそれほど変化を感じませんが、なにか違和感を覚えるはずです。低音域がよく伝わってきて音が広がったように聞こえます。これは、ぼやけていた音像がシャープになって音を目で追いかけることができるようになったからだと考えています。役者さんの存在が鮮明になったように感じたのはワタシだけでしょうか。
これで得心しました。
これまで音色や音の効果ばかりを考えて SE を作っており、音像に関してはおろそかにしていたために、すっかりヘッドフォン一辺倒になっていたことをこの小さなスピーカーシステムが目覚めさせてくれたような気がします。
さらにはヘッドフォンの役割も再認識できました。音像に関しては太刀打ちできませんが、針の先みたいな微妙な音の違いに集中できて、思考をめぐらすように聴き分けられるのはヘッドフォンだからです。効果音制作などの微細な音のチェックはこれに限ります。そして完成した音源はシアタービートで聴くべきだと、 個人的にこっそり 宣言させていただきます。
シアタービートの音を直接聴いてみたい方は渋谷の b8taにショールームがありますから、お近くなら出かけてみてはいかがでしょう。
商品について詳しくはホームページから。
ネットショップは カラーミーとベースの 2か所にあります。


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