お品書き
- ・ 初めてのCINEMA 4D Lite
- ・ 複雑怪奇なマネージャ構成
- ・ 混乱するショートカット
- ・ クセがすごいぞ C4D L
- ・ ライトと影と反射物
- ・ カメラ
- ・ AEとの連携
- ・ ヌルはヌルなのに。レイヤーはなぜ?
- ・ 回転は迷宮への路 その1
- ・ 回転は迷宮への路 その2
- ・ 回転は迷宮への路 完結
- ・ マテリアルと投影法 その1
- ・ マテリアルと投影法 その2
- ・ マテリアルと投影法 完結
- ・ 様々な物体を作る
- ・ 太陽系を作る
- ・ ブタさんを作る
- ・ モーグラフを使う
- ・ PCBを作る
- ・ デフォーマを使う(波打つ廊下)
- ・ 枯れ葉よ~
- ・ ペーパーアニメーションを考える
- ・ アナモルフィック
- ・ 平行投影
- ・ 球体鏡の内部へ
- ・ もしも鏡がうねったら
- ・ ファンタジーな世界を作ろう1
- ・ ファンタジー(2) カメラワーク
- ・ カメラを滑らかに走らせる
- ・ トラブルコレクション
- ・ Cinema 4D Lite FAQ
- ・ My Portfolio
3Dのショートショート その4【もしも鏡がうねったら】
画像はクリックすると拡大されます。また略語は以下のとおりです。戻る デジタル降魔録へ 次へ
【もしも鏡がうねったら】
くねくねとヘビのようにうねる鏡があったら、その中ではどんな景色が映るのでしょうか。
ゆるく波打つように曲面になった鏡というのは遊園地やイベント会場でよく見かけますが、それが常に柔らかく横にうねるという物を実際に作ったとしたら、相当に費用がかさむのではないかと思います。
今回も C4d Lの登場です。うねうねと曲がりくねる物体のアニメーションなんかも C4d Lで簡単に作ることができますし、風にはためく布のようでありながら、鏡面に仕立て上げることも、お茶の子さいさいです。
以前、鏡になった芋虫っていうのも作ったのですが、とくに面白くもなく、ターミネータ 2の T-1000(シュワちゃんをしつこく追いかけてくるアンドロイド・警官に成りすましています)が液体金属に戻ったときのようで、もう見飽きた感が強くて途中でやめました。
時代が進むと驚愕のコンピュータグラフィックスも当たり前になって、感動もしないんだ、というのが正直な気持ちでした。
ということで、鏡遊びもこれでラストです。
最初の実験は、円筒形(円柱)の鏡の中に物体とカメラを置いて、その筒がうねうねと横に波打ったら、中はどんな世界になっているのかです。
背景のゆがみは、縦にうねるよりヘビが前へ進むように横にうねらせたほうが面白かったのでこちらに決めました。
そして中に入れるのは青い球体です。円筒形の鏡が波打っているあいだはなんだかわけのわからない姿でうごめいています。途中で球体を消して鏡像だけにしました。まるで魔界へつながるトンネルのようなうごめく景色がしばらく続き、うねりが徐々に収まって終わります。
少しでも滑らかにするために、鏡となる円柱の高さ方向の分割数と、回転方向の分割数、それから球体の分割数も 512まで上げています。またレンダリング設定では、光の計算回数と鏡面反射の計算回数ともに 50に上げましたが、サイズは1280×780pxと小さめにしてあります。
細かい粒子のようなものが全面に果てしなく散らばっていますが、この粒子は球体のどこが映っているのか、なぜ粒子状になるのか、その理由はもしかして、解像度の問題かもしれないと思い、出力サイズを 8186×11589pxという大きなものにしました。
概算ですが、250dpiの A0ポスターほどのサイズです。でもさすがに大きすぎて動画には不向きですが、静止画に出力することができました。廉価版である C4d Lでこんな大きなサイズのものが作れるとは驚きです。
補足です。A0サイズの 350dpiにすると AEでメモリオーバーエラーになりました。
ただし、1枚の写真を出力するのに 8分も掛かるしまつ。しかも大き過ぎてネットに載せることができませんので、1200pxまで画質を落としました。
エッジのしなやかな美しい模様になりました。ものすごく細やかなラインが入り組んでいるのが解ります。ピンクで示した部分をさらに拡大すると……。
ここまで拡大しても粒子の正体がつかめませんでした。まるで青い銀河の流れを見るような写真になりました。
それにしても、鏡に映す物体を消すことができるというのも、実映像ではできないコンピュータグラフィックスの面白さかもしれません。
続いて、旗のように風になびく鏡です。実世界では作るのが困難なものですが、シミュレーションはいとも簡単に実現してくれます。
最初の段階では何がどこに映っているのか皆目見当もつきません。ただ不気味にぐにゃぐにゃ揺れているだけですが、後半で全体像が把握できますので納得されると思います。
3Dによるモーショングラフィックスが徐々に浸透しつつある状況です。こんな使い方がアイデアのトリガーになればいいのですが。今回もいろいろとネタの種を拾うことができたと感じました。